デヴィット・ルヴォーは素晴らしい!「人形の家」

今日は久しぶりにストレートプレイを見てきました。
ノルウェーが誇る「近代演劇の父」ヘンリック・イプセンの名作「人形の家」です。名作の割には全然知らんかったけど(バカ)。

何が見たかったって、デヴィッド・ルヴォーの演出する舞台が見たかったのよ、私(笑)。取り壊しが決定している「ベニサン・ピット」を拠点としていた演劇集団(とでもいうのかな)TPTで演出をよくやっていた方で、いまは世界的に人気のある方。大好きなんです(笑)。彼の演出した舞台はだいたいどれも素晴らしい(と思う)。

野田秀樹の演出にかかると「野田マジック」などと言われ、その役者の違う一面を引き出してくれるように、デヴィット・ルヴォーの演出にかかるとその役者の、美しくもあり醜くもある心の部分を引き出してくるような感じが大好きでねー。奇抜な演出をしないところも大好きです。
たぶん、通訳を通して演出をつけているんでしょうが、すべてその要求に応える役者さんたちもすごいです。

以下、ネタバレ注意。

あらすじはこちら ウィキペディアより

とにかく、宮沢りえちゃん(主役のノラ)がとっても良かった。この子、こんな声してるんだとか、あの細い身体のどこからあんな声が出るのかとか(マイクつけてましたけど)、ノラを見事に演じきっていました。
ノラはきれいで可愛らしく、蝶よ花よと育てられ、夫のヘルメル(堤真一)が人形のように可愛がっている妻。最初の天真爛漫な演技、クリスマスイブの買い物から帰ってきてヘルメルから不自由なくお金を与えられ、誰もがうらやむような妻を見事にあらわしてました。

しかし、自分を陥れようとする(おちぶれた)弁護士のニルス(山崎一)に対するとき、夫と別れを告げるとき、その態度が一変しました。正に天と地くらいの違いがありました。

今回、舞台が真ん中にあって客席がそれを取り囲むようにあります。で、舞台が360度回るんだけど、いや、ホントね、360度どこからみても可愛かった、りえちゃん。3幕のうち、1幕目は紫のドレス(だっけ?忘れた(爆))、2幕はブルージルコン色のドレス、3幕はダンスパーティー用の赤と黒のドレス。まるでお人形のように衣装を変えてきます。そして最後、人形から脱却すると決めたとき、白のブラウスにブラックのタイトスカートに変わります。

衣装がそのときのノラの意思を表していたのも、ルヴォーやるじゃん(笑)と思いました。

ヘルメルやってた堤さんはTPTで何度も見てますが、りえちゃんほどの天地の差がなかったような。自分の名誉を妻が汚したときの怒りと、妻を猫かわいがりしているときの差がねぇ。堤さんの根が優しいのかな。ただ、最後、出て行く妻を見送ることしか出来ないヘルメルの背中がとっても憐れだったな(私の席からは背中しか見えませんでした)。

山崎さんのニルスも良かったよー。憐れな弁護士から脅迫者へと変貌していくとことかね。
あとは、自分が好きな明星さん(メイド役)がホントにチョイ役だったのが寂しかったわ。まあ、メイドが出てばっかりの舞台も変だけど。

りえちゃん、セリフが長いと1本調子になっちゃう感じとか、手の動きがうるさいとか(笑)、どうして最後夫も子どもも捨てて一人出て行かなきゃいけないのかの説得力がもうちょっと、だとか、いろいろダメだしはありますが、やっぱすごいと思いました。もう大女優様だね。彼女だけ専用のヘアメイクがいるのも分かる気がする。

チケットが買えるなら、別の席からもう一度見てみたいなと思う舞台でした。ダンナも「サスペンスっぽくて面白かった」と言っておりました。

しかしS特別席が2席並んで空いている席があって、チケットゲッターやめてくれ、と思いました(笑)。

カテゴリ:実は芝居好き
タグ: