ワンツーワークス「死ぬのは私ではない」

本日は久しぶりに舞台を見に行ってきました。
劇団ワンツーワークス」旗揚げ公演、「死ぬのは私ではない」です。

旗揚げ公演とは言うものの、実は私がずーっと見てきた「一跡二跳」の再結成のようなもので、好きな劇団がなくなってしまってがっかりしていたので、復活はかなり嬉しいです(笑)。

劇団を辞め、一時はプロデュース集団になったものの(たぶんいろいろあったのでしょう(笑))それを2年足らずで辞め、やっぱり劇団がいいと復活した一跡二跳ですが(私的には、ワンツーワークスなどと言うよりもやっぱり一跡二跳なのです(笑))、演出が元新聞記者ということもあって、とっても社会的な題材を取り上げた舞台がほとんどで、実は「舞台は何かのメッセージを伝えるためにあるもの」と思っている私にはうってつけ?な劇団なのです。

最近はそういうメッセージ性のある劇団よりも、エンターテイナー的など派手な舞台のほうが人気があるから、一跡二跳みたいな劇団はとっても貴重だと思うんだけどね。もう解散しないで続けて欲しいよ。

というわけで、お話。
今回は「死刑」を題材とした舞台でした。実際にあった「SMクラブ殺人事件」をメインストーリーにして、なぜ日本では法律どおり(判決より半年以内に死刑執行しなければならないが、現在は早くても1年。10年とかザラ)執行しないのか、なぜこっそり執行するのか、という「死刑制度の是非」というよりも、日本の死刑執行システムの矛盾に対する問題点を描き出した舞台だったと思いました。

今日は、終演後にアフタートークセッションなるものがあり、演出の古城(こじょう)さんと、中日新聞社の女性記者が、死刑制度の不思議について話をされておりました。

古城さんいわく、日本の死刑制度は分からないことが多い、と。そして、法とはいわゆる「感情論」からもっとも遠いところ、冷静になければならないはずなのに、例えば裁判員制度のように「被害者感情、国民感情が許さないから」それを法律で救済(国民も裁判に参加できるように)してあげましょう、というのはおかしいんじゃないか、とおっしゃっておられました。

死刑というのも、やはり遺族が犯人を許せないから、という理由であるような気がする。ならばなぜ死刑執行を遺族にやらせないのか、非公開(秘密裏?)に執行するのか、なぜ国家公務員たる刑務官が死刑執行ボタンを押さなければならないのか、分からない、おかしいと。

その古城さんの思いが、舞台上の記者役の女性(関谷さん)の台詞そのままに出てきていました。
特にこのSMクラブ殺人事件については、死刑囚の陸田真志は殺人時は「自分は人間でなく獣だった」が、獄中で哲学に目覚め、死刑判決後は別人のようになってしまったため
「なぜ生まれ変わった彼を死刑にするのか。なぜ獣のようだったときの彼を殺さなかったのか」
(法律どおり半年で執行していれば、彼は獣のまま死刑を執行されるはずだった)
という疑問をぶつけてきました。

結局彼はあの「宮崎勤」と同じ日に死刑を執行されたんですよね・・・。(死刑執行時の法務大臣の記者会見はこちら

まあ、そんな舞台でした。
なんかさー、古城さんの気持ちも分からなくはないが、舞台で「分からない、分からない」を連発されると「うるせーよ少し考えろよ自分で!」といいたくなってしまいました(笑)。

確かにね、考えてもよく分からないだろうけど、古城さん自身の結論てのを見たかったな。たぶん、死刑執行場所にマスコミ(記者)が入り込んで死刑執行を辞めさせる、あれが古城さんの結論なのかと思いました。

ただねえ、私もダンナ(一緒に見ました~)も、死刑執行システムに問題があると思うなら、それが満足できるシステムに変えていけばいいじゃないかと思ってしまいました。
(ちなみに、日本は絞首刑です。詳しい執行方法はこちらをご参考に
絞首刑が残忍だと思うなら、中国みたいに薬物投与とかさ、これだけハイテク?な時代になったんだからいくらでもシステムなんて変えられると思うんだけどねぇ。

ただ、遺族感情を考えたら残忍でもいいんじゃないかと思ったり。
基本的に死刑は、殺人関係にしか適用されないので(詐欺罪で死刑とかないでしょ(笑))人の人権を奪っているんだから(しかもその奪い方は大抵は残忍でしょう)個人的には残忍でも致し方ないと多少思います。

そしてそこに出てくる感情は「私が死ぬのではない」から。(舞台のタイトルにもなってます)

私は死刑賛成、だって私が死ぬわけじゃないから。

そう思う人が日本では8割いるということらしいです。(日本では死刑賛成8割だそうです)

私は・・・うーん、どっちでもいいかな、死刑があってもなくても。ただ自分が当事者になれば絶対に犯人に死刑を執行してやりたいと思うだろう。
第三者としては、死刑があろうとなかろうと、世の中から殺人はなくならないと思うので(法の厳罰化は抑止にならないと思っているから。だって人間だって動物だもの。)だからどっちでもいいと思う。

人間、当事者にならないと分からないこと多いからね・・・。

なんて、今回もちょっと重い内容の舞台でしたが、やっぱり見終わった後こうやって考えさせてくれる一跡二跳がやっぱり好きだなーと思いました。
しかし、今の法務大臣はちっとも死刑執行しないねぇ。鳩山さんはわりとやってたのにね。

ところで一跡二跳。
メンバーがだいぶ減ったなぁと思ったら、どうやら喧嘩別れ(爆:裏情報)したみたいですね。もと一跡二跳の何人かは、古城さんが2年ほどやってたプロデュース集団GaiaDaysFunctionBandに残ってます。高久くん、かっこよかったのにもったいない(笑)。

カテゴリ:実は芝居好き